HDR(High Dynamic Range)は、映像の明るさの幅(ダイナミックレンジ)を広げる技術です。これにより、明るい部分はより明るく、暗い部分はより暗く表示され、映像に深みとリアリティが増します。従来のSDR(スタンダードダイナミックレンジ)では表現しきれなかった細部まで、HDRでは鮮明に描写できます。
主なHDRフォーマットの比較表
フォーマット名 | 開発元 | ビット深度 | メタデータ | 最大輝度(目安) | 特徴・用途 |
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HDR10 | CTA(米国) | 10bit | 静的 | 1,000〜4,000 nits | オープン規格で広く採用。UHD Blu-rayや多くの4Kテレビで対応。 |
HDR10+ | Samsung等 | 10bit | 動的 | 最大4,000 nits | シーンごとの明るさ調整が可能。Amazon Prime Videoなどで採用。 |
Dolby Vision | Dolby Laboratories | 最大12bit | 動的 | 最大10,000 nits | 高度な映像表現が可能。NetflixやApple TV+などで採用。 |
HLG | NHK & BBC | 10bit | なし | 約1,000 nits | 放送向けに開発。SDR |
HDRフォーマットの簡単解説
- HDR10(静的):映像全体に一律の明るさ・色調設定を適用。広く採用されているオープン規格。
- HDR10+(動的):シーンごとに最適な明るさ・色調設定を適用。Samsungなどが推進。
- Dolby Vision(動的):フレームごとに最適な設定を適用。最大12bitの色深度に対応し、よりリアルな映像表現が可能。
- HLG(静的):放送向けに開発され、SDRとの互換性がある。NHKやBBCが推進。
注意点と選び方のポイント
- HDR対応の確認:HDRコンテンツを楽しむには、テレビやモニターが対応するHDRフォーマットに対応している必要があります。
- ケーブルの選択:高解像度や高リフレッシュレートの映像を伝送するには、対応する帯域幅のHDMIケーブルが必要です。例えば、HDMI 2.1の機能を活用するには、Ultra High Speed HDMIケーブルが推奨されます。
- 機器の互換性:HDR10+やDolby Visionなどの動的HDRを利用するには、再生機器と表示機器の両方が対応している必要があります。
HLGパススルーとは?
HLGパススルーとは、AVアンプやHDMIスイッチなどの中継機器が、HLG信号を変更せずにそのままテレビやプロジェクターへ伝送する機能です。これにより、HLG対応の映像ソース(例:BS4K放送、YouTubeのHLGコンテンツ)を、HLG対応のディスプレイで正しく表示することが可能になります。